美味いラスクの秘密はバターにあった。
あつあつの窯の上には、
溶かしバターの入ったボウルが常に置いてある。
バターは二層に分離し、
下の方には不純物やらマーガリン質やらが沈んでいる。
上澄みの透明な部分が「純粋な」バターだという。
その上澄みだけにパンを浸し、
グラニュー糖をまぶしつけて焼く。
「こんな単純なことで、ラスクやバタースコッチの味が断然ウマくなる」
と店主は言う。
正直、お取り寄せで名が通ったとこのラスクよりも断然美味い。感激。
天然酵母だとか自然素材だとか、いまどきのオシャレな要素もない。
押し付けがましいウンチクもたれてない。
イメージや見てくれを売りにするのではなく、
ただただ客の舌を掴んで離すことなく成功している店。
そんな、消費者をバカにしない、いたって誠実なモノヅクリの精神が
私にとってはすこぶる新鮮であり、
新たな刺激となっている。
健全で賢明な経営者からは、学ぶことが多い。